土肥城祉

土肥氏・土肥城址とは
土肥氏(どひし/どいし)とは、相模国土肥郷(ここ神奈川県足柄下郡湯河原町の地)から起こった氏族で、中村荘司宗平の次男実平(土肥次郎と号した)が土肥郷を分領して土肥氏を名乗ったのが始まりです。湯河原一帯から真鶴町に至るまで、周辺一帯はこの「土肥氏」の治めた地域で、かつては「足下郡土肥郷」と呼ばれていたようです。
この土肥氏の中で、源頼朝とも深い関わりを持っていた武将の「土肥実平(どい さねひら)」氏が歴史上において最も有名な土肥氏の代表であると言えるでしょう。現在のJR湯河原駅近く、成願寺あたりに平時の居館を構えていたと言われ、JR湯河原駅前には土肥実平夫妻の像が建てられています。湯河原観光の際には、まずこの銅像見学よりスタートするのが良いのかもしれませんね。
さて、話を土肥城址に戻すと、JR湯河原駅付近にある平時の居館に対して、標高563mの城山山頂にある城山城は、後方の最後の詰めの城であったのではないかと言われています。この土肥氏の時代に立派な城があったという確たる歴史上の文献は無いようで、室町時代以降の戦国時代に、後北条氏のような後の武将によってしっかりとした城として築かれたのではないかと言われています。つまり、土肥実平の時代には、城山の山頂には立派な城は築かれておらず、簡素な居城であったのではないかと言われています。
土肥実平は質実剛健・贅沢を好まない質素な暮らしぶりであったようで、頼朝からもその謹厳な暮らし、振舞を称賛されたと言われています。この由来からも、当時の城郭はあまり大きなものではなかったと言えるかもしれません。
土肥城址へのアクセス方法
土肥城址はJR湯河原駅背後の山側に位置しており、駅からそのまま徒歩で登る事ができます。道は比較的整備されているものの、斜面が急なようで、かなり大変な行程だという事です。かく言う筆者も、この駅からの徒歩のコースは使用せず、椿ラインのしとどの巌(いわや)バス停付近に車を停めて、そこから徒歩で向かいました。
しとどの巌バス停付近は車も比較的多く停められる十分なスペースがあり、トイレも整備されているのでとても便利です。なお、椿ラインをもう少し下ったところに「城山入口」というバス停がありますが、ここには車の駐車スペースは全く無く、完全にバスを利用する方向けの入口になります。その他、いくつかアクセス方法はあるようですので、興味のある方は上記の案内図写真を参考にしてください。
この場所からの近くにはしとどの巌もありますので、是非とも一緒に回られることをおすすめします。
土肥城址への経路
ここでは、しとどの巌バス停からの経路でご紹介します。高低差もほとんど無く、とても歩きやすい道のりで、景色も素晴らしいので、とてもおすすめできる経路です。車を停めた場所から、しばらく石畳のとても平坦で歩きやすい道を進みます。
しばらく進むと、芝生に覆われたちょっと開けたスペースが現れます。一瞬「もう着いたのか!?」とビックリしてしまいますが、ここは周辺一体の「神奈川県立奥湯河原自然公園」のちょっとした休憩地で、城山城址はまだ先になります。ここでちょっと一休みも良いでしょう。ここまではほぼ平坦で本当に歩き易い経路になります。
この先の道は、より自然に溶け込んだ感じの雰囲気へと変わっていきますが、相変わらず高低差も少ないので、とても楽に進んで行けます。余裕があるので、ゆっくりと周りの景色を楽しんだり、鳥のさえずりや木々の音に耳を傾けながらハイキングを楽しめます。お子さんや高齢者の方でも十分に楽しめる行程ではないかと思いました。
しばらく進むと、急に左側が開け、海からの風が吹き込んでくる場所が目の前に現れます。眼下には真鶴半島が広がります。それまでが穏やかな経路でしたので、全体を包み込むような風の音に囲まれて、景観の変化にちょっととまどってしまいましたが、清々しいとても気持ちの良い風なので、それまでの疲れも一気に吹き飛んでしまうのではないでしょうか。
その先はいよいよ城山の頂上付近に差し掛かります。ちょっとした斜面に入りますが、わずかな距離だけです。むしろ、城に攻め込まれる直前の最後の防御になる場所ですから、仕方ありません。
城山の山頂に到着すると、360度見渡す限りの絶景に目を奪われます。奥湯河原に湯河原、そして真鶴半島を一望できるこの場所は、まさに湯河原一番の絶景ポイントと言っても過言ではないでしょう。
周囲も芝生がきれいに整備されており、休憩するためのベンチも据えられています。撮影時は、出発地点からは快晴で素晴らしかった天気も、城山城址到着直後より雲が現れ始め、すぐにも雨が降り出しそうな天気へと急変してしまいました。
真鶴方面に目を向けると、真鶴半島が上から一望できます。先端にはかすかに名勝「三ツ石」も目にすることができます。
天気の良い日には、この360度パノラマの城山城址の芝生の上でお弁当などを食べるのも最高でしょう。この素晴らしい景色を見下ろしながら、時の土肥郷の藩主、土肥実平は当時何を思い巡らせたことでしょうか。その藩主だけにしか味わう事のできなかったこの最高の眺望。時代は変わり、今の私たちは気軽に楽しむことができますが、これは当時では考えられなかった、とても贅沢な事なのかもしれませんね。
城山城址詳細情報
- 利用時間:見学自由
- 利用料金:無料
- トイレ:しとどの巌バス停付近にて利用可能
- 駐車場:しとどの巌バス停付近にて利用可能(無料)
- お問い合わせ先:湯河原町観光課(0465-63-2111)
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